北海道史研究協議会創立四十周年記念論集
  北海道の歴史と文化
                    −−−−その視点と展開

 一九六六年七月、北海道の市町村史研究のために、会員相互の連絡提携をはかることを目的として北海道史研究協議会が発足しました。

 以来本会は、古文書解読講座をはじめ市町村史研究の交流会や講習会の開催、会報の発行、研究や史料情報の交換などの事業を全道的に展開してきました。会員はさまざまな地域にありながら協議会に参加し、個個の研究を深め蓄積して参りました。そして今年は、本会創立四十周年を迎えることとなりました。
 四十年の歳月の中で本会のたどってきた歩みを整理し、研究成果を総括することは、地域の一文化団体としてもそれなりの意義のあることと思います。
 顧みますと、創立から長い間本会の先頭に立って会員を指導された初代会長高倉新一郎先生をはじめ、多くの先輩から賜った学恩はたいへん大きいものがあります。我々にはそれを引き継ぐと共に、さらにそれを発展させる責務があります。このたびの機会に、とくに会員の新しい研究成果をもりこんだ論集の刊行をするゆえんであります。
 以上、やや大げさな言い方になりましたが、ともすれば変転する世情に埋没しがちな地方の時代の正確な認識のためにも、ささやかながら私どもの四十年の歩みや、北海道の歴史と史料についての諸研究がお役に立てば、幸いこれに過ぎるものはありません。

 ここに、『記念論集』の収録内容を列記して大方のご参考に供し、併せて関心をお持ちの多くの方々の本書ご購読をお願いしたいと存じます。

二〇〇六年五月 北海道史研究協議会

  北海道史研究協議会創立四十周年記念論集
北海道の歴史と文化
北海道史研究協議会・編
《内 容》
序 文 田端  宏
北海道における歴史研究の現状と課題
古代・中世研究の現状と課題 乾  芳宏
近年の″アイヌ史”研究管見−近世文献史学研究を中心に 谷本 晃久
近現代史研究の現状−主に地域史研究とその活動の紹介 榎本 洋介
中世編
北海道の中世板碑について 須藤 隆仙
近世編
幕領蝦夷地と場所請負制 田端  宏
蝦夷地・戸賀地金田の砂金と蝦夷地に渡った佐渡西三川の金掘 太田 善繁
江戸幕府の国絵図作成と松前藩の対応 高木崇世芝
飢饉と米価から考察した場所請負制の功罪 秋葉  賓
史料紹介− 樺太南部を中心とした栖原家家譜 秋田 俊一
あゆのおどリ
史料紹介− 松田傳十郎『阿迪埜躍之記』についての考察
大塚 和義
上ヨイチ運上家とその周辺 乾  芳宏
場所生産物の直段表示について 駒木根恵蔵
″悲運の人″籍館奉行堀織部正利照 近江 幸雄
島義勇の『入北記』と前後の日記について 有田 政博
史料紹介− 佐倉藩士のクナシリ島・ヱトロフ島調査
本田 克代
吉田 千萬
近現代編
ブリュネの遺したもの−タイクン拝領の刀を追って 合田 一道
本多新と新井奥邃 福田 隆三
北海道町村制度史再考−研究の再構築のために 鈴江 英一
知的障害児者教育・福祉の源流をたずねて−内村鑑三・留岡幸助・石井亮一から学ぶ 平中 忠信
馬匹改良三十か年計画の第一期に対する北海道の対応 寺島 敏治
新十津川町における「鳥取県団結移住」の展開 卜部 信臣
大津街道開削について「試論」 阿部富喜男
俳人阿部慧月の誕生−大正モダニズムと地方の成長 君  尹彦
北海道における昭和初期の字名改正について−住民意志の反映を中心に 関  秀志
史料紹介− 利尻島仙法志村鰊漁場出稼漁夫に関する名簿 西谷 栄治
史料紹介− GHQを中心とする教育変革の指令・指示文書−昭和二十、二十一年度より 藤田 明郎
覚書 北海道郷土史研究会の人々と関係出版物 出村 文理
道史協四十年のあゆみ
北海道史研究協議会四十年の歩み 関  秀志
年表・四十年の歩み
『北海道史研究協議会会報』総目次(分類別)
北海道史研究協議会刊行物一覧芋キスト・出版物など)
高木崇世芝
あとがき 大庭 幸生