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日ソ極東北海道博物館交流のめざすもの
                                                理事長 舟山 廣治

 わが国とソ連邦とは地理的に近接した位置にありながら両国の交流の歴史は、必ずしも親密なものとは言えない。
 それは、わが国における鎖国制に因るものもあったであろうし、現代においては、国家体制の違いからくるものも大きかったと考えられる。
 近年、日ソ両国間において様々な分野にわたって交流が盛んになって来ている。持に北海道と極東地域の交流は、「日ソ極東・北海道友好交流会議」として、定期的に持たれるようになり、既に二回の合議を成功裡のうちに終えている。
 この定期会議の中で、文化・学術・スポーツなど多くの分野における交流が強調され、その一つとして、博物館の交流は、学問領域の分化が進行する時代にあって、総合的に観察し、学ぶ博物館活動を通じての交流は、両国の友好を一層深めると共に、両国の文化の発展に大きく寄与するものであろうと、その実現が強く望まれていた。
 このような流れのもとに、昨年、筆者を団長とする訪ソ団が、かの国の博物館関係者との話あいが持たれ、さらに、本年八月ソ連邦文化省博物館局管理官ドンスキェフ氏を団長とする一行の来訪があり、今後における両国の博物館交流について積極的な話あいが持たれたのである。
 この結果、今後における交流は継続的に、博物館関係者の相互交流をはじめ、文献、資料、展示物などの交換を行なう事が確認されたのである。このような形での交流は全国的にみても例がなく、全く画期的な事と言えよう。
 日ソ両国は今日海をへだてている事が固定的に考えられているが、近年における両国の考古学的研究の成果によると、広大なシベリアの地とわが国との関わりは、近代史におけるおよそ二百年の交流の範囲をはるかに超えて、日本民族の起源や、わが国における農耕の起原の問題など、はるか遠き時代より極めて広範な領域にわたって深く結びついている事が明らかにされて来ている。
 このことは、わが国の対外交流の歴史的窓口を南と同時に北方についても重視しなければ、わが国の正しい歴史の理解にはならない事を意味している。
 このような成果をふまえるとき、日ソ両国交流の進展には、両国の幅広い博物館交流の重要性をいよいよ増して来るものと言えよう。
 博物館が活発に活動しているかどうかは、その国の文化水準を示すものと言ってよく、博物館の活動は文化発展の基礎と言うべきで、文化基層に深いかかわりをもつ日ソ両国の博物館の交流は、両国の文化を相互に深く理解し、また、両国の平和と友好親親善にかけがえのない役割をはたすものと思うのである。           (北海道議会議員)
                                               = 会誌創刊号より =


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