【資料・文献の紹介】 ト部信臣編『空知を知る一空知地方史の文献目録とその手引き−』 1967年創立以来、毎年1冊刊行の『空知地方史研究』のほか、全10集の『空知文化財シリーズ』、 『空知むかし話』などの『空知シリーズ』等の刊行で、つとに知られている空知地方史研究協議 会が、総力をあげて作成した地域史の文献目録である。  目録の主体は1.空知全体に関わるもの 2.各市町村史と地域史〔部落史〕3.農業 4.炭鉱 5.交通 6.文化財 7.生活・民話 8.教育 9.アイヌ文献資料 10.絵図・地図文献 11. 空知地方史研究協議会関係文献目録、以上11部門に分かれる。この前後に、支庁、市町村のほか 、土功組合、農協、消防署、学校、図書館、博物館など関係機関・団体の変遷についての一覧図 等を付す。さらに『空知管内炭鉱変遷附図』(59cm×84cm,3枚)と題する「空知地方の炭鉱の 開発過程」の詳細な系統・変遷図を別封付録とする。本図は、道史協会員内田大和氏の監修で、 本協議会員が作成にあたった。また'05年3月、若干の改訂の上、厚手両面刷りで再刊され、その 際、炭鉱分布図、生産量の推移表ほか若干の資料も加わった。  本書の序文に「北海道・空知が『日本のホープ』として、国の予算が特別に振り向けられる時 は、日本の国がピンチの時である。明治中頃、昭和の終戦。ピンチを脱すると競争力に勝てとの 言葉でそれまでの予算が削がれる。近代工業の血液といわれた石炭、日本人主食の米は、日本刀 を鍛えるようにして、国の重要政策に組み入れられたり、見放されたりしてきて空知を支えてき た。」とある。本目録も農業と炭鉱に比重が高い。  あとがきに「文献目録はあると便利だが、作るのは大変である。地域史、団体史、炭鉱資料な ど特定な範囲しか配付されていないものを探し出すには、ずいぶんと時間がかかった。」とある。 参加者全員の実感であろう。(2004年3月、A4版、182頁、空知地方史研究協議会)